JFCA広報応援団

日本家族カウンセリング協会の広報応援団です

組織と、家族と、ロックンロール。 第三回 システムに「理解」を実装する①

家族カウンセリング協会には、様々な業種の方が所属しておられます。
今回のインタビューでは、今回のインタビューでは、心理士としてEAPの会社に所属し活動されておられる山下良成さんから、第一回①第二回①に引き続きお話を伺いました。

 

第三回 システムに「理解」を実装する

”単に行為者を罰するとか、被害者を救済するだけではなくて、システムそのもののパワーバランスを少し変えるだけで、大きくそういうこと(パワハラの問題など)が起きなくなるみたいなこともありますので。”



<発達障害の方への対応>

伊井 井上先生も同じく若者のいるところで務めておられますが、井上先生から聞いてみたいところはありますか? ビジネスの現場の若い人の部分についてなど。

 

井上 私の職場は発達障害の学生さんが非常に多くて、診断もある子もいればグレーのような感じで来てる子もいますけれども、職場でも割とそういったことが結構問題になっていたりするんじゃないかなと想像したりします。それをどうされているのかということを伺いたいです。
また、大学では親を呼ぶようなことも時々しますけれど、職場となると厳しいんじゃないかと。そのあたりをどうされているのかなというのは、ちょっと気になるところです。

 

山下 実は私がこの仕事に興味を持ったきっかけとしては、私の友人のお子さんが発達障害だったことです。発達というところに興味の原点にあって、そこからいろいろ心理を学んでというところがあったので、実はそのEAPのメンタルヘルスの研修とかも、自分で言うのもなんですが、管理職のラインケア*1のポイントの中で、かなり早いタイミングで発達障害の話をずっとしていたんです。

今はもうだいぶみなさんが発達障害について知っていますが、管理職の方々も全く何のことかわからないくらいの頃から、事例があった時に『こういうベースに、発達障害がある可能性があるんです』と話をしていました。こういう方々にはこういうふうに対応していきましょう、とか、こういう目線で見ましょうということを結構重ねてきました。なので、かなり発達障害の理解に貢献していると自負しています。

数はそうでもないんですけれど、職場でラインケアで困っているケースは、それに絡んでるケースが半分以上あったのでよく伝えていましたね。そこはもう理解するしかないので。理解のない中で、他の人と同じように繰り返し、怒鳴ったり追い込んだりしても全く意味がないですし。管理職もつらいですから、発達障害をしっかりと理解してもらい対応してもらうということをずっと私は伝えていました。

家族をお呼びするということは実際は少ないですね。年に一件あるかないかくらいのペースです。家族との対話であったり、そういったことを助言することはあるんですけども、家族そのものを呼び出すということはそんなにはないです。

 

井上 家族の視点があるだけでも個人の面接や一つのケースを扱うにあたっても解像度が変わってくると先ほどもお話されていましたよね。

 

山下 おっしゃる通りですね。その人を理解する上で家族の存在も非常に重要な部分がありますので。まさに解像度という表現がぴったりだと思います。

 

井上 山下さんは、私が今大学でしているようなことを、もうかなり早くからされてきているんだなと思いました。

 

山下 大学側からのサポートも絶対大事だと思います。発達障害傾向、グレーゾーンも含めた方々が、会社側にそういったサポーティブな体制やマインドがない中に放り込まれてしまうと、どっちも不幸になるので、そこはちょっと気をつけたいところですね。

ただ、よくあるのは自閉スペクトラム症の方で非常に偏差値が高いということで中小企業の会社が○○大学の応募があったぞ!と喜んで、「あの子ちょっと変わっている感じだけど、とりあえず入れよう」と。社長が入れたがっている、みたいなことになるケースもあるんですよね。それはいいんですけれども、ちゃんとサポートしないといけないし、フォローがいるところがあります。常識が通じないということが起きたりするので。
そういう方々は結局現場でコンフリクトが起きて、メンタルダウンするパターンが多いです。そうすると「どう扱っていいかわからない」ということになってしまいます。研修をしてそういう相談を受けると、8〜9割は発達障害の傾向があります。『その方はこういう特性ないですか?』と聞いたら「あります、あります」と。大体そういう話をされますね。
だから、本当に理解して、できることやすごく得意なことがあったりするのでそこをうまく見つけてあげる。もちろんポジティブな部分も絶対にあるので。

 

ある福祉施設の管理職の方は、自分のお子さんが発達障害なのでものすごく理解があり、自分のチームにいるそのような傾向の人ととても上手く働いています。生き生きと働いています、本当に。
何でもかんでもできるわけじゃないけれど、その人にしかできないことはすごくあるので、そういうことも大切にしてちゃんと周りの職員にも理解させて、上手く回している。そういうことができる職場が増えれば、本当にいいんでしょうけど。

 

伊井 発達障害を組織に理解してもらうということに関しては、井上先生もかなり腐心して活動されてると感じています。理解のある専門職の方と、企業のメンタルヘルスに関わっている方の協力体制が、就活の部分でもどんどん広がっていくといいのかなと思いました。

 

第三回 システムに「理解」を実装する②につづく

*1:ラインケアとは、職場でのメンタルヘルス対策の一つで、現場の上司やリーダーが部下の心の健康に気を配り、サポートすることを指す。