JFCA広報応援団

日本家族カウンセリング協会の広報応援団です

組織と、家族と、ロックンロール。 第二回 家族を学ぶと解像度が上がる①

家族カウンセリング協会には、様々な業種の方が所属しておられます。
今回のインタビューでは、今回のインタビューでは、心理士としてEAPの会社に所属し活動されておられる山下良成さんから、第一回①に引き続きお話を伺いました。

 

第二回 家族を学ぶと解像度が上がる

”あらゆる問題の根底に、家族問題も関わっています。ですから『これはもう、高校の必須科目でしょ!』くらいに思っています。それくらい重要な心理学分野で、あるとないとでは全然違うんじゃないかなと思っています ”

 

 

<今の仕事で家族カウンセリングをどう活かしているか>

伊井 お話を聞くと、産業分野にいらっしゃるカウンセラーの方はクライエントさんの家族が絡む場面に結構遭遇すると思うんですよね。その時に家族心理学の知見を持っているのと持っていないのとでは困難さがだいぶ違うような印象がありますが、どうですか?

 

山下 正直なところEAPの場合はそこまで深く、要は家族間の葛藤のところまで踏み込むことがないのが一般的なんですよね。やはりそこはすごく時間がかかったりするものなので。それこそブリーフの考え方ではあるんですけども。
ですが、もちろんそこがわかっているのとわかっていないのとでは、微妙な接し方も変わってくるとは思うんです。だから知っているに越したことはないです。ちょっとした見立てが上手く機能することも実際にあるので、あった方が絶対いいと私は思っています。

 

伊井 山下さんが学んだことやスキルというものが、今のお仕事のどういうところで活かされているのかをもう少しお聞きしてもよろしいですか?

 

山下 資格でスタートラインに立てるということももちろんあるので、取るに越したことはないんですけど、私は先ほども言ったように後付けのタイプなので、その資格を経て実戦経験することの方がすごく大事なところだと思っています。

特に家族心理学を学んだ時に、間違いなく最も重要な心理学の分野だと本当に僕は確信しました。みんな、家族の中で育って、家族を持っているわけですよね。あらゆる問題の根底に、家族問題も関わっています。ですから『これはもう、高校の必須科目でしょ!』くらいに思っています。それくらい重要な心理学分野だと思っていて、ライフステージが上がる中での家族との関わりや家族間の問題・葛藤なんかをどう見立ててどう動けるかというところがあるとないでは、全然違うんじゃないかなと思っています。
そのくらい、すごく良い中身なので資格を何人かの友人にももちろん勧めてはいます。学びの内容だけでも本当に価値があると勧めているんですよね。

 

伊井 学んだことに価値があったという。

 

山下 家族の問題などをいろいろ経験していることもありますし、見聞きすることもあるので、その中で構造を理解したり、こういうことは既に研究されているのかと知ることになりますので。深くは扱わないようにはするんですけれど、家族の問題が見えてくるので、実際に知識を使ってそこをちょっとつついてみたりすることもあります。

 

例えば、二つの事例を比較したいんですけれども、一つは、20代後半の方で自分でいろんなことを抱え込みすぎてしまいメンタルダウンしてしまった方。すごく評価の高い女性の方だったんですけども、ダウンしてしまい、カウンセリングに来られた。
さかのぼると愛着の問題がありました。両親の不仲がある中で育ってきていて、本人はすごく明朗活発で頑張り屋さん。社会人の20代後半のタイミングで折れてしまった。本人としては「化けの皮が剥がれてしまった」的な感じ。
いろいろ話をすると両親とのケリがついていないというところを避けている、向き合っていないというとこがあって。
そこをクリアにすると、だいぶ前に進めるという見立てをしていたので、どうします?と本人にも確認をしてみたんですけど、結局はそこには向き合わないという本人の一旦の決断がありました。それはそれで尊重して扱わないとして、できることをやっていくことにしました。
結果的にはその方はきちんと復職をして、どんどんクリアしてる。今でもちょっと落ち込むタイミングでは時々カウンセリングに来るんですけども。私がその方にずっと助言していたのが『自分が子供を持つようになった時にまた親との関係も変わるので、無理に触らなくてもいいよ』ということでした。その方から妊娠の報告もありましたので、そこからまた自分の親との関係が変わってくるよという話はしてまして、そういう長期的な見立てをもとにサポートができました。

 

一方の事例は40代の方で、その方はパワハラでかなりメンタルをやられてしまった。この方自身はシングルマザーに育てられ、「父親がいない分、私が」ということで厳しく育てられてきていました。
親から全然褒められたことがない状態で、離れて暮らしているんですけれど、休んでいることも報告していないと。「話してもどうせ駄目出しされるだけなので」と言ってたんですけども、いろんな話をする中で一度相談をしてみてもいいんじゃないかということを勧めました。
その方が勇気を出して母親に話してみたら、思いのほか受け止めてくれたということで、びっくりするくらいそこから劇的に回復が早まりました。親との関係が一気に変わり、仕事に戻れた。そういう事例もありました。

 

だから家族間の問題に触れることもあるということなんですね。これは家族心理学をちゃんと学んだり、家族相談士の資格を取っていなかったら、そこまでのアプローチを自信を持ってやれていなかったんじゃないかなと思います。

 

伊井 少し拡張して見れるようになったというか、そういうシステムとして見られるようになったということなんですかね。

 

山下 そうですね。目の前の仕事だけというよりも。

 

伊井 リソースが広がるような印象はありますよね。繰り返しになる部分もあるかと思うんですけども、そういう中で家族カウンセリングを学んでよかったと思うところは、一言で言うとどんな感じでしょうか?

 

山下 今まさに伊井さんがおっしゃったような、本当にその人の「奥行き」が見えるようになっている感じです。

 

伊井 解像度が上がりますよね。目の前の人が立体的に見える、フィールドが広がるというか。そんなイメージは確かにあるなとお話を聞きながら感じました。

 

 

第二回 家族を学ぶと解像度が上がる②につづく